『コップ2030』吉村萬壱

対立の無いところに対立を、緊張のないところに緊張を。としかいえないようなこの人の小説に出てくる登場人物のありかたは、この作家を支持させるに充分である。親子を対立させるためにやってきたイエスのように。ただ今作は前半は緊張感があってよかったが後半やりすぎかな。
しかしたとえばこの人なら、介護を必要とする老人のわがままの、そのわがままの汚さも、そんなもの全て聞いてやる必要なんてない事もあからさまに書けるだろう。隠蔽されたものを暴くだろう。