2011-02-11から1日間の記事一覧

『裸婦ペロリ』鶴川健吉

暴力とはどういう関係によって生じるかとか、その関係によってしかつながることのできない人物を丁寧に描いた作品。 主人は対等なコミュニケーションの場というか、穏当なコミュニケーションの場では、著しく能力を欠く。すぐに失業してしまう。つまりはコミ…

『ノミの横ばい』戌井昭人

しかしよくこのスカスカの内容でこれだけのページ数を埋めたなあ、という感じ。読んでも見事に何も感じない。読んでその日のうちに内容を忘れ、今ここに何かを書くためにページをぺらぺらやっても何も蘇ってこない。しいて言えば、バイトの分際で店を食材を…

『かげ踏みあそび』藤野可織

え、リアリズム?と思っていたら、序章が長かっただけでした。しかし、この人は力あるなあ。 物語は主人公の親が再婚して義姉と一緒に暮らすことになる所から本格的に動くのだが、つまりは、いきなり異物と暮らすことになるわけであって、通俗的なマンガなど…

『してはならないことはジュソだよ』古川日出男

図書館で借りたものにこの評価は気がひけるが、私には思わせぶりなだけで、古川氏のファン以外にこれがとどくものだとはとても思えない。

『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』吉井麿弥

レシートの内容などが挿入されていたりして、いっけん奇をてらった小説かのようだが、きびきびとした運びで物事は語られ、読者は難なくそれについていく事ができる。これだけでも相当の能力がないとできない事で、新人賞には間違いなく値すると思う。この人…

『文學界』 2010.12 新人賞ほか読切作品

『文學界』の12月号について書くにあたって、なんといっても12月号ですから、2010年という年を振り返ってみようかと。まあ2月に入って正月気分も消え、誰もが2010年の話題なんて、と思ってるでしょうから。 職場で朝日新聞が読めるようになった…