2009-12-20から1日間の記事一覧

『ミート・ザ・ビート』羽田圭介

これから書くことが小説への評価として適当なものになるのか分からないが、とても好感の持てる作品。最初のうち主人公がいわゆる自転車乗りであって、クルマの排ガスだの乗り方だのに文句つけてるときは、日頃から自転車の無法ぶりに腹を立てている私として…

『自称林かのこ24歳』松井雪子

アイスクリーム工場で働く人を白いものたちと表現したりするところが松井雪子らしい。大きなテーマとしては、飼いならされるとはどういうことか、という事なのだろう。人になつかない犬と、体に記憶として残る昔の山姥(?)と、そしてマナー教室に通った自…

『まあめいど』鹿島田真希

鹿島田真希というと、私は構築の人といいたくなってしまう。いかに現実の世界と異なる世界を言語を武器に構築できるか。そしてそれは、通俗なSFが、宇宙船だの違う星だののアイテムだけ置換し、現実の世界そのままが描かれているのとは全く違う。言葉によ…

『狭い庭』合原壮一郎

どうしても作者の年齢を評価に含めてしまいそうになるが、心を鬼にすると、やはりこういうステロタイプな不思議ちゃん女性は、文学にはいらないと思う。実生活でも、こういう出会ったときから不思議ちゃんな人って、意外としばらく付き合ってると退屈だった…

『ディヴィジョン』奥田真理子

読んでから暫く経ってこれを書いているが、見事に人物が残っていない。語り口の奇妙さが無ければ、おそらく読んでいて退屈極まりなかっただろうな、と思う。というか、語り口が奇妙だったことさえ残っていればいい、という事なのだろうか? たしかに、リズム…

『文學界』 2009.12 新人賞ほか読切作品

年末になると今年の3冊とか5冊とかそういう記事が新聞などに載ったりするのですが、そういうのって下期偏重気味だったりするので、ふと思いつきでじゃあ去年2008年の5作品(というか別に何作品でも良いのですが)を、気ままに挙げてみようと思って自…