『狭い庭』合原壮一郎

どうしても作者の年齢を評価に含めてしまいそうになるが、心を鬼にすると、やはりこういうステロタイプな不思議ちゃん女性は、文学にはいらないと思う。実生活でも、こういう出会ったときから不思議ちゃんな人って、意外としばらく付き合ってると退屈だったりするもの。いっけん普通のなかにある亀裂こそが面白いのだ。
細かいことでいうと、日記と地の文の文体にさしたる違いが見られず、日記の意味があまりないこと、いきなり地の文で尊敬語が出てきたりすることも評価を下げる。無理やり長い文章を組み立てようとする所は遊び感覚なのかどうなのか分からないが、読む方にとっては退屈を逃れるものとして働く部分もあり、これは良かった。あとから振り返ればなんでこんなことに神経質にいつまでも拘るんだ、という事に拘っている記述が見られるのも思春期モノとしてリアルでいい。