『まあめいど』鹿島田真希

鹿島田真希というと、私は構築の人といいたくなってしまう。いかに現実の世界と異なる世界を言語を武器に構築できるか。そしてそれは、通俗なSFが、宇宙船だの違う星だののアイテムだけ置換し、現実の世界そのままが描かれているのとは全く違う。言葉による構築。しかも言葉による構築でありながら、その言葉は、今回の新人賞受賞作などと違って、ありふれた単純な言葉だ。
いいかえれば、ありふれた単純な言葉にじつはこんなにも可能性が潜んでいるんだ、という事を示しているのではないか。
それは翻って私達が日常使う言葉への距離を私達に考えさせるものとなる。ただし読んでいて面白いかというと話は別で、今作は遊びの部分がやや少ないような気がした。