2012-04-09から1日間の記事一覧

『薄紫雲間源氏』青木淳悟

いつもの青木淳悟らしいユーモアをかんじさせる文章で、源氏物語の世界らしきものが語られているが、元をよく知らない私にはいくらか楽しみが少ないものではあった。なんだこりゃ、よくわからんなあ、でもらしいなあ、といったかんじ。

『たそがれ』島本理生

子供が生まれて激変した私、とまめてしまうと身も蓋もないが、母子二人きりで密室にあることが、息を詰まらせるものではなく、まったく逆で、主人公にとっては幸福という形容では足りないくらいのものである、というのが興味深い。つみあげてきた近代的自我…

『ミステリオーソ』松浦寿輝

ジャズをあまり知らない人が読んで面白いかなこれ、とも思うが、あのモンクだったらあってもおかしくないなあというギリギリのところを狙っていて面白い。また、いちばん小説のメインとなる出来事をめぐって主人公が、2、3秒の余裕もなく一瞬のうちに人生…

『教授の戦利品』筒井康隆

蛇をおもに研究する教授と病的に蛇を嫌う人たちをめぐるつくり話で、多少語り方に工夫は見られるが、さほど面白いとも思えない。

『ホサナ』町田康

内容も面白くなければ、文章も面白くない。いぜんは内容はともかくも文章では楽しませてくれたものだが、少し趣旨がえしたのかもしれない。わざと単調な感じを狙っているような、少しだけいつもと違う雰囲気。ともあれ、あまり期待できそうもない。

『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』大江健三郎

まずは、「あの」出来事が声を上げて泣くまでのものだったか?と読んで思ったが、それは今にして思うからであって、当時であれば人によってはそういう事もあったかもしれない。(しかし私について言えば、泣く、あるいは絶望することが可能なくらいまで、冷…

『燃焼のための習作』堀江敏幸

新年号というと、なんか目玉をぶち上げたり、高名な作家さんたちの短編集めて一見華やかにしたりするのが文芸誌の通例のような気がしていたが、今年の群像は堀江氏の読みきりか、ちょっと地味かもと思っていたら、すごく読み応えがあって良い意味で裏切られ…

『群像』 2012.1 読切作品

この半年くらい、ドコモに、ムーバ終わるからFOMAにしましょうスマホはどうですか割引しますんでという内容のDMを、かれこれ10通くらい送らせておきながら、ギリギリになってソフトバンクに変えました。ドコモさんすいませんでした。いっときはわざ…