2011-11-07から1日間の記事一覧

『"フクシマ"、あるいは被災した時間』斎藤環

上記のようなものもあればこういうのもあるんだなあ。 やれ猪子寿之だ、ダヴィンチだ、ハイデガーの弟子だ、デゥピュイだと思想家芸術家の名前が挙げられ、ウンザリさせられること請け合い。まるで自らがいかに現代思想に通じているかを誇示するがために「フ…

『うらん亭』黒川創

結果として一番短いこの作品がいちばん読ませるものだった。久しぶりに読んだがこんなに流暢な上手い書き方をする作家だっけという感じである。 一人称として語られる部分と、三人称で、時代を包括する俯瞰的な視点から語る視点が混在していて、最初少し混乱…

『お神さん』太田靖久

新潮新人賞ではそれだけで終わらず二作目が載るだけでもなかなかすごい事なので、歓迎したい気持ちもあるが、そういう事情を知らずはじめてこれを読んだ人にとってはどうなんだろうとも思ったりする。文章も悪くないし展開もよく考えられているようにみえる…

『持ち重りする薔薇の花』丸谷才一

さすがに名前だけは知っていたけど、小説作品を読むのは初めて。あるクラシックのカルテットと懇意にしていた財界大物男性が、そのカルテットの過去をメインにそれに絡めて自分の過去を語る、みたいな内容の作品。とくにこれ、語り自体に面白さがあるわけで…

『新潮』 2011.10 読切作品ほか

人志松本の○○な話を訳あってたまに見るのですが、怪談を怖いと感じることがないので、怪談特集は止めて欲しいです。ちなみに私にとっては、無灯火で信号のない交差点に進入してくる自転車ほど怖いものはありません。 訳あって朝日だけじゃなくて読売もたまに…