2010-09-15から1日間の記事一覧
アカデミズムのなかでは、まだまだ高齢の人を中心に何かと左翼的な気配が支配的である。というのは予想できることで、萱野氏がエッセイでこういうことを書き付けたくなった気持ちも分からなくはない。しかし論はやや乱暴に感じる。「格差」を「格差問題」と…
あの作風でこれだけの長さを読むのか、と楽しみより退屈しないで読みきれるかと恐れがさきに立ったが、ほとんどの部分がリアリズムで書かれていた。他の作家が書いたなら大満足とすべきなのかもしれないし実際その水準は高いが、そういう絶対的な視点など持…
題名にまでなっている所の、主人公の母親が沖縄戦の激戦で気が振れてしまい、何かを超能力のように幻視してしまう、という要素をせっかく導入しているが、それは小説の中心になっていないように感じる。 いっぽう娼宿の女性達を登場させた事は話に変化を与え…
この小説の主人公の作家も北関東に住むことから、つい絲山本人に重ねてしまい、なるほどこういうきっかけなんだ、と思ってしまったりするのだが、いくらかのフィクションは当然含むだろうものの、あながちこういう読み方はまちがってないんじゃないか、と思…
舞城作品にたいして面白いとばかり評しているのだが、その中でも特にこれは素晴らしい。 イラクに派遣されている米兵達の話なのだが、映画を見ているかのようで、最近のハリウッド映画のリアリズムとスピード感に文体が全くマッチしてしまっている。というか…
やっと少しだけ涼しくなってきたようで、そもそも夏ぎらいなのも手伝い、なんとも喜ばしい気持ちです。 かなり昔になりますが、夏前にひとりの女性と知り合って、夏の間電話をかけあったりして、向こうも私と付き合う気持ちがはっきりありそうな明るい応対だ…