『新潮』 2010.9 読切作品ほか

やっと少しだけ涼しくなってきたようで、そもそも夏ぎらいなのも手伝い、なんとも喜ばしい気持ちです。
かなり昔になりますが、夏前にひとりの女性と知り合って、夏の間電話をかけあったりして、向こうも私と付き合う気持ちがはっきりありそうな明るい応対だったのですが、私の方が炎天下のなか出かける気持ちにならず、といっても雨の日に会おうとするのも、いきなり夜のデートをするのも不自然で、9月になってから本格的に付き合いはじめた、という事があります。
しかも、2回も、というか2人のかた、と。もちろん同時にではなく、それ相当の期間が間にはありますが、絶対数の圧倒的に少ないなかで相当な割合だったりします。
9月は、私にとってそんな変化の月なのです。


「新潮」といえば、金原ひとみさんの連載が休載です。季節が季節ですから、たんに夏休みとかであって、体調崩されていなければいいんですが。
この件では、金原さんはもちろん、「新潮」のことも責める気持ちはありません。
連載一回一回の密度が高かったですからね。分量も心なしか多いと感じるくらいあって、連載ながらも読んでいるという充実感が、毎度毎度大きかったものです。今まで一ヶ月で二ヶ月分読ませてもらっていたと言っても過言ではないくらいですから、満足いくものが出るまで休んでください。
金原さんと連載といえば、朝日の文芸誌で阿部和重にたいして不安をもらしていて、「ストックがほしい」みたいな事を言ってましたが、先日のニュースではかなりひどいネグレクト(育児放棄)が報じられたりもして(水商売の女性がマンションに子供閉じ込めて友人宅を転々そして衰弱死)、こういう事があってそれが連載にはっきり形とはならなくても影響がありうる事を考えると、やはり連載ならではの面白さというものもあるのかな、と思います。読んでいる方にも影響がありますし。
村上龍文學界で最近まで連載していた作品も、連載中にサブプライムローン問題から始まるリーマンショックがあったりして、エグゼクティブが主人公の話なのに、少しトーンに暗さを感じるようになりましたからね。