2009-12-02から1日間の記事一覧

連載終了『ピストルズ』阿部和重

ここ数ヶ月の物語の終盤にかけて盛り上がりは流石というべきだが、期待が強かったぶん、全く不満がないわけではない。末の妹(とその父)の超能力の話の比重が大きくて、街にくらす普通の人々が政治的人間としてどのような残酷を働いたかの様子が思ったほど…

『太り肉』吉村萬壱

以前はこういう作品はいたずらに露悪的であまり読む気がしなかったものだ。しかし、ある極限状況におかれないと見えないことというのは確かにある。わたしたちの、この隅々までオブラートに包まれた暮らしが隠蔽しているものを吉村作品は暴く。我々の男女の…

『声』津村節子

どこまでが事実か私にはさっぱりだが、夫であるあの作家を悼んでの作品で、以前にもそういうのがあった。今回はなんと夫の霊に会えるかもしれない、という所までいっているのだから、相当に悔いがあるという事なのだろう。 しかしやはり霊媒師に降りてきた霊…

『未明の闘争』保坂和志

七年ぶりの小説と目次にあって、期待する人も多いのだろうが、殆ど期待していない人がここに一名。いきなり出だしすぐの二行目から、「私は」の主語が見つからない変な文章に面食らう。 それでも夢の話とはいえ、普通の情景描写が続き、それほど変わった小説…

『群像』 2009.11 読切作品ほか連載など

惰性で続けているかのようなブログへようこそ。 間があいたのはパソコンが壊れて修理に出していたのもありますが、PCデポに行ってみたら自分のと同じレベルのパソコンが2万くらいで売っていて、半ば予想していたとはいえ、驚きでした。むかしPC−DOS…