2012-04-23から1日間の記事一覧

『神風』黒川創

語り手ではなく、小説で主に語られる音楽家にはとくにシンパシーをいだくことは無かったが、その超絶感には興味をそそられた。一歩ひいたとこにさえいれば、コスモポリタンでいられる、あの地にはここに出てくる彼女のようにそういう心性をもったひとが沢山…

『今まで通り』佐藤友哉

原発事故関連。有名になった「ただちに影響はない」を、ということは長期的に影響あるって事じゃないか、と早合点するアホ主婦の話。 だって、「長期的な影響については確定的なことはなにもいえないがただちに影響がないことだけはいえる」ってことだって当…

『同行死者』高村薫

いつも乗るはずの路線バスが大事故に会いそれに偶々乗らなかったために助かった女子高生の内面語り。つまり自分には死者が同行していると。 あからさまに震災があったからこそ書かれた作品のように思える。なぜ彼らは死んで自分は死んでいないのか、そこに理…

『二度めの夏に至る』古川日出男

震災のせいで、一時的に書けなくなって先延ばしした作品ではないか、と思う(多分)。 つまり構想自体は相当前にあって、しかも、私になんとなく残っている記憶によれば以前相当前に新潮に載ったプロローグ的なものの続編のように見受けられる。のだが、とく…

『新潮』 2012.2 読切作品

ちょっとした便意を見逃さないようにして、便を柔らかく保つこと。これが痔を治す最大のコツだと最近身をもって知りました。 ちょっとした臨時収入があったので、「文學界」の最新号も買ってみたのですが、巻末で相馬さんが吉本隆明について書いていて、なん…