2011-11-24から1日間の記事一覧

『“フクシマ”あるいは被災した時間(二)―追悼と確率』斎藤環

趣旨である抽象的議論のその根幹については、文句をいう気は殆ど無い。というか、理解できてないかもしれないし、理解する気もあまりないから。 気になったのは、その議論の説得性を高めるために、どぎつい資料ばかりを引いているかのように見える点だ。まる…

『ニルダ』ジュノ・ディアス

ヒスパニックのおかれた状況をドキュメンタリでみることはあっても小説で読むことはなかったので新鮮だったのと、主人公の兄が死ぬとともに、つきあっていた彼女までもが「死んで」しまうところが胸を打つ。きっとここには万国共通の残酷な瞬間がある。 ゴリ…

『波』黒川創

題名からしてすでにストレートだが、あの津波と遭遇した一家のそれぞれについて、多少の工夫はあるものの、そこにあった、また、あるべきだった生活と、遭遇の状況を何の奇をてらうこともなく小説としている。多くのひとがあれだけの出来事なのだからそんな…

『楽器』滝口悠生

読み始めてしばらくは、最近の新潮の新人賞はなかなか読ませるね、と思ったりもしたけど、よく考えてみれば前回の新人賞がとくに良かっただけで、更によく思い出してみれば、ちょっと前までは福田和也が編集の人のボヤキとして候補作を揃えるだけでも大変・・・…

『新潮』 2011.11 新人賞ほか読切作品など

9頭立ての少頭数のレースで、8着と9着の馬のワイドを買っていたりすると人間やめたくなりますね。 最近そうでなくても馬連で買えば1着3着とか、ワイドにすれば今度は1着4着とか、神さまに完全に見放された感があって、そんなこんなで何かに八つ当たり…