2011-05-01から1日間の記事一覧

『人生オークション』原田ひ香

掲載誌が違うとこうも違うのはなんでと問いたくなるくらいだ。というのは、この作家については、けっこうこのブログでは酷いことを書いてきたからで、しかし、この作品は読める。 読み始め当初は、叔母と主人公がどうしてこんな最初から馴れ馴れしいの、と、…

『石飛山祭』石牟礼道子

近世のころの話だろうか、山から海へと集落を連ねた村落共同体での、日照り〜雨乞いで起こった出来事が語られるのだが、いかにもこの時代のできごとを語るに相応しいかのような文語調で語られる。それでも、リズムや言い回しがそれっぽいだけで、思ったほど…

『記憶の暮方』高原英里

基本的には、ある青年が過去の自分の周りに起こった出来事を探求する話。 しかし、これが結構工夫のある作品で、まず主人公が考える詩論からスタートする。それ自体はそれほど難しい内容でなく、近代は自由詩のほうが優勢だが、定型・韻文にはそれがうたとし…

『ROMS』松浦寿輝

平岡公威ものの一連の作品のひとつ。わざわざ検索する気もないが不定期でもう足掛け2年くらいになっている?ようは、長く感じてしまうくらい、これまでのものの殆どが記憶の彼方であって、あまり印象に残らないというか、その程度の作品が多かったように思…

『群像』 2011.3 読切作品

とにかく帰ってきたらテレビをつけてニュースを見る、という生活も過去になりつつあるのがなんか不思議な気もするここ数日ですが、相変わらずセブンスターは手に入りにくいです。 先日書いた地震当日の話の続きです。 路上で大きな揺れに遭遇しながら呑気に…