2009-09-27から1日間の記事一覧

『砂漠と運河』椎名誠

はるか昔にエッセイを読んだ覚えしかない椎名誠って、どんなものかと思えば、少しも面白くないのだが。運河の部分は、たんに青春時代の回想の域をでていないし、砂漠の部分は、中国人にたいする悪意に辟易する。 もちろんそれは作中人物のことであるが、こう…

『鳥の眼・虫の眼』相馬悠々

編集後記みたいなものかなあと勝手に相馬氏のことを推測していたら、少なくとも新人賞応募作の下読みをしたことがあるひとであることが判明。まったく外部のライターではないようだ。 というのは、半径10メートルの世界しか多くの新人賞応募作は書いていな…

『カーヴの隅の本棚』鴻巣友季子

巷ではいっけん絶賛しか無いかのような村上春樹の新作について具体的に疑問を掲げている。あくまで疑問であって、小説の出来栄えには文句をつけては居ないが、この人の書くことって、楊逸作品を擁護したときもそうだったけど、けっこう説得力があるんだよね…

「戦争と日本の作家」ドナルド・キーン×平野啓一郎

この対談は、ほんとうの意味で面白く、買った直後とあわせ、2回読んでしまった。 とくに安部公房がチーズ食べて「これは、日本人でも喜ぶだろう」と言って、それにキーンが驚いたというエピソードが面白い。ついスルーしてしまいがちだが、自らを亡命者とし…

「芥川賞記念対談」磯崎憲一郎×保坂和志

技術論が中心だったような記憶で殆ど内容を覚えていないのだが、面白かった箇所が一箇所。保坂が自分が芥川賞受賞したとき文芸春秋の中吊広告で自分の面が割れてしまったというエピソードをさも嬉しそうに語るところだ。

最終回『麻布怪談』小林恭二

「読み物」としては面白いほうかもしれない。

『岸辺の旅』湯本香樹実

長い。夫が失踪したあとに突然現れ、しかし彼はもうすでに死んでいて、という非リアリズム。で、妻が、その死んだ夫と共に、夫が失踪した後の道を、遡って旅をしていく。 文章や描かれる情景、そして旅路で出会う人々が特段魅力あるものであれば、長い、とい…

『文學界』 2009.9 読切作品+2009.8 拾遺

・・・・・・『文學界』。 余りにも面白くない小説が続くんで、本気で買うのやめようと考えていたら、最新号、橋本治の小説をもって来るとは。しかも、それがやはり滅法面白い。うまく行かないというべきか、そうでないのか、また暫く買ってしまいそうです。 とい…