『砂漠と運河』椎名誠

はるか昔にエッセイを読んだ覚えしかない椎名誠って、どんなものかと思えば、少しも面白くないのだが。運河の部分は、たんに青春時代の回想の域をでていないし、砂漠の部分は、中国人にたいする悪意に辟易する。
もちろんそれは作中人物のことであるが、こういう単なる慣習の違いを民族なるものの本質と勘違いして蔑視する人物が出てくるだけで、読んでいて気分が悪い。
まったく小説には関係ないが、日本人の多くは慣習の違いで言えば例えばチップとかは、それを欧米人の慣習として寛容にとらえ、決して"ちょっとした事で小銭を要求するさもしい民族"とは欧米人のことを思わない。なんとも不思議だねえ。