2009-05-30から1日間の記事一覧

『黄泉入りどき』桑井朋子

短い作品だが、姉の小言の部分だけが面白く(最後に余計なつけたしがある所)、それを考えるとこれでも長い。ちと退屈した。

『歓び組合』墨谷渉

思ったのだが、すばるでのデビュー作から、少しだけではあるが後退してはいないだろうか。分かりやすいSM的世界に。あの訳のわからなさは一体どこへ。世間からの同情をもって有罪を勝ち取った夫婦が暴力の対象になるところには変奏の可能性を感じたのだが…

『火を盗む』谷崎由依

この作家にしてはいつもより簡明な短文で構成しているように感じられるが、基本線は変わらない。とても技術があり知性も感じさせながらしかし描くことがない、そんな感じだろうか。流産の悔恨とは、いやそれは女性にとってはいつの時代も大きな問題なのだろ…

『たそがれ刻はにぎやかに』木村紅美

青年と、そして彼から一世代ジャンプした老女との交流を描く。互いに異なる思惑から近づいた筈が、それとなく心も通わせるかのようになり、とちょっと映画じみた感じもする。それにしても、この作家にかかるとどんな題材も明るさを伴って料理されてしまうの…

『妖談7』車谷長吉

前回もこれは書いたが妖しい部分がなくなってきている。はじめて妖談を読む人はどう思うのだろう。 いちばん最初の牛について書いたのが面白かった。小学生の頃、近所といっても1キロ以上は離れてただろうか、そこそこ大きな牧場がある友人がいて、遊びにい…

『文學界』 2009.6 読切作品

えーといかに私が文学賞一般に関心があまり無いかというのは、本日ネットに久しぶりに繋いではじめて三島賞の受賞作を知ってしまった事で分かっていただけるのではないかと思います。 本日初めて知ったなんて、言うだけならどうとでも言える、どう証明するの…