2009-03-08から1日間の記事一覧

『音楽奴隷たち』平井玄

気取った文章をただ連ねているだけで、何が書いてあるかはおぼろげに分かるが何が言いたいのかさっぱり分からぬエッセイ。ドゥルーズだのアドルノだの名前がでてきたりもするが、典型的なディレッタントの所作といった感じで、あんな難しい思想家の本をいち…

『戒名』長嶋有

久しぶりにこの人の作品を読んだが、やっぱ抜群にうまい。うまいし、引きこもりながらも祖父母を介護するという面白い人物を生み出した時点でもう半分この小説は勝負に勝っていて、その彼の、「なんでもなさ」が、ちょっと得意げでもあり、照れているようで…

『星が吸う水』村田沙耶香

素晴らしい。もともと、訳の分からないものをなんとか形にしつつもむしろそこから溢れてしまうようなエネルギーで押し切るような、そういう作品を書く人という印象だったが、前作で完全に剥けた感じがする。エネルギーはそのままに形ができてきたのだ。 それ…

『群像』 2009.3 読切作品+おまけ

昨日また性懲りもなく文芸誌を買って眺めていたんですが、おととい津村さんの作品について書いたことを反省しております。 だって良く考えたらあれが、少し物足りない作品であることくらい作者が一番よく分かってるだろうと。そんな事をいちいち指摘する事に…