2008-10-08から1日間の記事一覧

『グレー・グレー』高原英理

前述の福澤作品と打って変わって、言葉の一つ一つにやたら神経を配った詩的なSF的非リアリズム。 非リアリズムということで出だしは不安だったが、しかし決して読み辛くはない。主人公が冷房を最強にしている理由が徐々に明らかになる構成もよく出来ている…

『鍵のない教室』福澤徹三

完全リアリズム。一人の中年専門学校教師がリストラされるまでを描いた作品で、技巧的な工夫は殆どない。が、読ませる。専門学校の内幕を暴いたその内容だけでも一読の価値はあるだろう。こういう話を、たんに、社会学的な問題としてノンフィクションで書い…

『裏キオクストック発、最終便』平山夢明

世界が狂いはじめてる、ネジがはずれてきてる、と思ったら、じつは逆転していて狂ってるのはもしかして自分?というディック的SF小説。昨今のSFはきっと構築的志向が強いだろうから、SF誌にこのまま載る事はないのだろうか。ディックもコアなSFファ…

『神様のいない日本シリーズ』田中慎弥

半分くらいで挫折。よって評価不能。この独白する父親が野球をやらない理由が、単純に敬愛していた母親が祖父の昔話をした最後の言いつけを守ったからだと思っていたら、なんか錯綜していて、「父さんはやろうと思えばできた」とか言い出して混乱し、葉書を…

『文學界』 2008.10 読切作品

人生幾度目かというくらいの少ない頻度ですが、さいきん何事にも積極的になれずこのブログも滞りがちですが、新しい文芸誌が発売されるとまだ少しはワクワクします。やはり柄谷氏の名前が目を引きますねえ。こんなんが目を引いてるようじゃオシマイと言われ…