『裏キオクストック発、最終便』平山夢明

世界が狂いはじめてる、ネジがはずれてきてる、と思ったら、じつは逆転していて狂ってるのはもしかして自分?というディック的SF小説。昨今のSFはきっと構築的志向が強いだろうから、SF誌にこのまま載る事はないのだろうか。ディックもコアなSFファンからはあんなのSFじゃないと言われがちらしい。
でも狂っていようとこの愛はホンモノだという感じで、恋愛が絡んでいくところもディックに似ている。技術的な不満はほとんどないが、すでにディックを読んでいる人にとっては、もう少し今日的な意味が欲しいところ。