2007-04-23から1日間の記事一覧

『プレカリアートの憂鬱』⑤ 雨宮処凛

今回は小説家を目指している人の話で、夢を持っているぶん、なんか救われてしまっている。普通に俳優だの文筆業だのを目指していて結果としてビンボーな人よりは悲惨な成り行きなのだが、それにしても、はっきりと目指すものがあるだけいいのではないか、と…

『ピストルズ』③ 阿部和重

なんか人物がカタカナ名だし、魔法?みたいな事もでてきて、あの阿部和重が今度はさらによりフィクショナルな世界に挑むのか、と身構えたこの小説だが、なんかいきなり面白くなってきています。 ていうかギャンブルだのホテルだの裏取引だの下世話な話題を書…

死霊をめぐる対談−奥泉光×佐藤亜紀

対談だから読みやすそうなので読んだが、埴谷雄高じたい、ほとんど知らないので、死霊の内容に関することを言われるとさっぱり実感がつかめない。基本的に、これから読みたい人ではなく、読んだことのある人向けの対談って感じだ。 奥泉さんはいつもどおりの…

『風を放つ』恒川光太郎

なんか古臭い名前の響きだが、ベテラン作家ではないし、それほど歳を取っているわけではないようだ。もちろん読むのは初めて。 読後としては割と良く書けているなあ、という感想。この内容をこの長さに結構コンパクトに話を纏めて、それでいて分かりづらいと…

『老国道』リービ英雄

良く見る名前で有名な作家ではあるけれど、読むのは初めて。 中国の古い国道を通って農村地帯を通過し、日本軍戦勝記念館(みたいなもの)を尋ねる話。話とはいっても筋みたいなものがあるわけではなく、農村地帯と、そこを訪ねるのを嫌がる都市部の中国人青…

『群像』 2007.5 続き

群像は埴谷雄高特集ってことで、奥泉さんと佐藤亜紀の対談以外はまあ読まないと思うので、今日アップする小説をもってほとんど読んだことになるのかな? で、ふつうなら新潮の5月号の読みきりに移る所なんだけれど、図書館で『すばる』の4月号が貸し出し可…