2010-06-28から1日間の記事一覧

『市民薄暮』諏訪哲史

新潮で書いている作品は、いつも何かこれまでと違うことをやろうとしていて、それだけで好感もてる。面白い面白くないというレベルで、成功しているとは言いがたいときもあるのだけれども。 書くという行為、作者という存在。それらを当然のものとして受け入…

『乙女の密告』赤染晶子

正直読解力に欠ける私には、この作品の良さが掴みにくい。若い女性が群がって行動しのけ者を作り出したりする様は、読んでいて面白かったが、昨日まで親しくしていた人が裏切るというファシズムの状況と、重なる部分が全くないとは言えないものの、うまくこ…

『文學アジア 第一回都市篇』

なんでここに島田雅彦なの?、と金井美恵子さんは編集者に疑問を投げつけたりはしなかったのだろうか。でも、少なくとも韓国作品よりは面白かった。あーあ日本終わっちゃったぜとただ嘆いているだけ、と言われればそうかもしれないけど、かつてを良く知るこ…

『新潮』 2010.6 読切作品

さいきん心が荒み気味の理由のひとつに、真夏が近づいていることが挙げられます。 ただただ暑いのが嫌だというのが、一番の嫌であることに違いはないのですが、花火大会だの盆踊りだの、クリスマスのように毎年やってくる行事もさいきんは嫌で仕方がありませ…