『乙女の密告』赤染晶子

正直読解力に欠ける私には、この作品の良さが掴みにくい。若い女性が群がって行動しのけ者を作り出したりする様は、読んでいて面白かったが、昨日まで親しくしていた人が裏切るというファシズムの状況と、重なる部分が全くないとは言えないものの、うまくこれと言えないが両者には決定的な違いがあるような気がしてならない。
それは例えば、逆からみると、ふだん親しくしていない人が親しげに振舞ってきたりするようなそういう状況もあったりするのが後者なわけで、ときに仲間はずれになる以上の恐ろしさがそこには無いか?
反感的な感情を呼ぶだけでも、たとえば柴崎作品のほうが「何か」が書かれている、そんな気にもなる。