2009-06-29から1日間の記事一覧

『妹』ミランダ・ジュライ 岸本佐知子訳

この作家の映画をなんとなく最後まで見たが、ハリウッドを知ると、やはり退屈に長く感じてしまう。 この小説も途中は面白いともなんとも言えないが、ラストがいい。「鳩目打ち」が言葉として口に出せるかどうかで以後の道が決まってしまうなんて、如何にもあ…

『ドリーマーズ』柴崎友香

よく川上弘美あたりの作家について、ほんとうは書きたいことなどないくせにと難癖つけがちな私であるが、この柴崎に比べれば遥かに川上などは純文学を感じさせる。そこには孤独というか孤立の臭いがあるからだ。 この作家については、書きたい事がない以上に…

『膿汁の流れ』西村賢太

読みながら面白いとは思うが、この感じはもう「寅さん」なのであった。逆切れと猫なで声の、そのえんえんとした繰り返し。主人公のドジもドツボも自分とはかけ離れているだけに、アホな人のアホな失敗として私は笑うように読んでいる。これでいいのだろうか。

『あの子の考えることは変』本谷有希子

思えば文芸誌、といっても読者の少ない純文学雑誌を買い始めたきっかけがこの人なのであったが、今は昔となってしまった。今となってはそこそこエキセントリックな人物を描いていながらこの作品は、余りに普通にみえ、つまりは純文学にはもっともっと変わっ…

『群像』 2009.6 読切作品

このあいだは3日間連続で記事書いたり、こうして2週間以上放置したりと、すっかりやる気の無さが滲み出てしまってます。こういうふうに定期性が崩れてしまうのも、典型的なブログの終わり症状のひとつなんでしょうか。 こうなると、どの作品に言及したかも…