2009-02-13から1日間の記事一覧

『パーティーでシシカバブ』鹿島田真希

現代的なぶっきらぼうな調子で話す若い男女が出てくる話で、よく趣旨の分からないパーティーへ行くのだが、少しづつ会話がずれ、かみ合わない事にも構わず物事は進み、主人公がそれにどんどん振り回され、あるいは振り回していく様が面白い。 現実にはもちろ…

『テント集落奇譚』又吉栄喜

ほんとに隣町まで噂が伝わるほどに容姿端麗な人はこういう内面を持つのだろうか、と思ってしまうくらい、その内面の記述が平板でスカスカな印象。「私はほんとうに綺麗。装飾品もなぜか好き」というだけみたいな。そうなると話の内容までもが、平板に見えて…

『日本人の戦争 ――作家の日記を読む』ドナルド・キーン

一気に読んでしまった。 戦争に夢中になってしまった作家(永井荷風を除いて)たちの日記を余り詳細な分析・論評をせず、事実と照らし合わせるかたちで淡々と抜粋する。 とにかく滑稽なくらい日本の勝利を信じているのだ。作家でこれだから、庶民においては…

『文學界』 2009.2 読切作品

たぶんそういう人は多いと思う、というか殆ど皆そうでないかと思うのですが、夢のなかで見る光景で、決して現実にはないのに、いくども見ることがある決まった光景というのがあるのですが、それがなんとも不思議です。私の場合それはある駅なんですが、 地下…