2009-02-05から1日間の記事一覧

『不浄道』吉村萬壱

冒頭、日本人の潔癖さについて書いたけど、この小説はそういう事に対する批判とはあまり関係ないようだ。極度に露悪的な状況を描くことで、身の回りの人間関係がじつは普段隠蔽している暴力性を明らかにする、といったところだろう。しかし私は、ここまで露…

『過去をひろいに』小林紀晴

さんざん恵まれてるくせに「自分探し」に貧しい国に行く、豊かな国の人々を描いた小説。基本的に私にとってはどうでもよい人々なのだが、インド人の現地のツアーマネージャーの不機嫌さを描くことにより、豊かな国の人のその身勝手さが多少なりとも描かれて…

『の哲学』大澤真幸

単発ならいいのにまたつまらない連載が群像でも始まってしまったなあ、という感じ。文章が大げさで、読む気がそがれる。 たとえば、「資本主義は、」とかいって文章が綴られるけど、マルクス主義とか宗教と違ってイデオロギーというより、たんなる貨幣制度じ…

『群像』 2009.2 読切作品ほか

日本人論とか読んだことがないし、テレビでよく、日本人ここがおかしい、とかやってるのも見たことがないのですが、私が違和感もってることが一つだけあります。 それは、この国の人はちょっとした雨で傘を差したがること。これがさっぱり理解できません。 …