『不浄道』吉村萬壱

冒頭、日本人の潔癖さについて書いたけど、この小説はそういう事に対する批判とはあまり関係ないようだ。極度に露悪的な状況を描くことで、身の回りの人間関係がじつは普段隠蔽している暴力性を明らかにする、といったところだろう。しかし私は、ここまで露悪的で非リアリズムではない方法でも、その暴力性は書けると思うし、そういうものの方が好み。また、私にとって好みであると同時に、より読者へ訴えるものとなるだろう。ここまで書くとあまりにありえず「外側」の話しになってしまう気がする。小説だから色々あっていいんだけど、もちろんの事。(ただしこの小説にお金は払わないという。)
ラストのオチは面白い。寓話めいた非リアリズムであれば、こういうオチは許される。