新連載を中心に

いや今年のクリスマスは最悪でしたね、3連休と重なって。日用品の買出し行くのになんでこんな渋滞に巻き込まれなくちゃならないのか。脱力放心でした。
風呂場のフックが調子悪かったんですけど、ホームセンターのほうは諦めました。近くのスーパー行くので精一杯です。


高校生の頃、なんの気まぐれか聖書研究会に一年所属していた私ですが、クリスマスに目出度い気分に未だ嘗てなった事がなくて、福音書すら読んだことがない人たちがクリスマスを祝ってるのは不思議に思います。
でも、これ見よがしにクリスマスに対してシニカルな態度を取るのも大人気ない気がするし、コンビニなんかでよぼよぼしたおばあさんなんかが孫の分なのか自分の分なのか1000円のクリスマスケーキを予約しているのを見たりすると、あっても良いと思いますけどね、クリスマス。ケーキ屋さんとか死活問題でしょうし。
キリスト教を信仰している人がほとんどいないのにこれほど盛大にクリスマスを祝う国って、日本以外にどれくらいあるのか、ちょっと知りたくもあるのですが。

『ゼロの王国』鹿島田真希の新連載on群像

またしても過去に酷評した作家の評価が覆ることに。しかも今回は掛け値無しに面白い。なんだったんだろう、あの『ピカルディーの三度』は。
読んでてまず思ったのが、ドストエフスキーみたいだな、というもの。内面描写にしても実際の会話にしても実にながい科白まわしだし、内容もまたくどい。で、合理的でいながら世の中とずれた感じとか、思い込みで押し通してしまう感じとか、私の少ない読書経験からいってドストエフスキーなのだ、これは。
もちろん実際にこんな会話がなされることなどありえないわけで、リアリズムではないのだが、こういうのは、私小説的リアリズムや、非現実な世界を描くアンチリアリズムなどとは別の意味で評価されていいと思う。舞台設定は現在で、近代小説のもっとも近代小説らしい感じが味わえるごく稀な貴重な作品で、群像の連載を読むのがこれで楽しくなりそうで、素直に嬉しい。

『ドンナ・マサヨの悪魔』村田喜代子の新連載on文學界

いかにもまだ話がスタートしたばかりの内容。読みやすくはあるがこの文体はあまり好きではないかな。
これから、老女というか中年女性の心情が語られていくにしても、話というか出来事じたいがドメスティックな内容ではないのはひとつ救いか。日本人同士の軋轢みたいなのは、よほど上手くないともういいやって気持ちになりそうなので。

『海峡の南』伊藤たかみの新連載on文學界

伊藤たかみって実は読んだことがなくて、その風貌や小説の題名などから、私には合わないだろうなあと漠然と思っていたが、その通りだった。
なにしろ主人公の片割れ男性の、ほとんどの心情がなにも共感を呼び起こさないのだ。とくに覚えているのは、たまたま自衛隊の車に随行して車で走ってるとき、隊員のひとりに彼に日本を守ってもらおうと思ったとか、そんな記述があるのだが、はあ?何それって感じ。
しかも、さしたる屈託もなくまるで挨拶代わりとでもいうかのように男女が「寝て」たりするんだが、村上春樹ならパイオニア的に許せるとしても、それ以外で、こういう男女関係の雰囲気をもった小説なんて読みたくないよなあ。春樹ならば、そういう俗を作り出したとすら言えるかもしれないけど、それ以外はなんか、俗に寄り添ったと感じてしまうのを私は避けられない。しかも、作家のほうから寄り添ったつもりでもそんな俗はない、みたいなハズシすら感じたりして。


文學界の新連載は期待はずれでした。もともと連載されていたものもイマイチなので、結構つらいものがあります。