『海峡の南』伊藤たかみの新連載on文學界

伊藤たかみって実は読んだことがなくて、その風貌や小説の題名などから、私には合わないだろうなあと漠然と思っていたが、その通りだった。
なにしろ主人公の片割れ男性の、ほとんどの心情がなにも共感を呼び起こさないのだ。とくに覚えているのは、たまたま自衛隊の車に随行して車で走ってるとき、隊員のひとりに彼に日本を守ってもらおうと思ったとか、そんな記述があるのだが、はあ?何それって感じ。
しかも、さしたる屈託もなくまるで挨拶代わりとでもいうかのように男女が「寝て」たりするんだが、村上春樹ならパイオニア的に許せるとしても、それ以外で、こういう男女関係の雰囲気をもった小説なんて読みたくないよなあ。春樹ならば、そういう俗を作り出したとすら言えるかもしれないけど、それ以外はなんか、俗に寄り添ったと感じてしまうのを私は避けられない。しかも、作家のほうから寄り添ったつもりでもそんな俗はない、みたいなハズシすら感じたりして。


文學界の新連載は期待はずれでした。もともと連載されていたものもイマイチなので、結構つらいものがあります。