2011-04-05から1日間の記事一覧

『あめりかむら』石田千

この作家の作品を読むのは初めてだが、思わぬ収穫。とくに工夫を凝らしたところのないリアリズム小説なのだが、だからこそ良さが光った。読み終わったとき、なんて「良い」小説なんだろう、と単純にそう言ってしまいたくなった。そしてこの小説は間違いなく…

『我が異邦』藤谷治

藤谷作品というのは、私がこれまで読んだものは、たまたまかもしれないが、あくまでリアリズムベースでありながらどこかで非リアリズム空間を裂け目的に挿入しつつ語る作品ばかりで、で、その手際のよさも高評価ポイントのひとつだったんだけど、この作品は…

『疾風怒濤』古川日出男

題名に「疾風」とはあるが、主人公の行動、生き方に特段のスピード感を感じる事もなければ、物語の展開が速いとかそういうわけでもない。では内容ではなくメタな形式からいうと、確かに文体には特徴があって、短文が多数あり、また、「。」で終わるような部…

『新潮』 2011.2 読切作品

いやあ。冬もいよいよ終わりですかね。買ってきたものをすぐに冷蔵庫に入れなくて済む、大好きな季節なんですが。 なんて季節の話題とか書いても乗れない人多いかもしれません。震災後、どこか日常の感覚が戻らない、というか。 いわく、「3・11以後」世…