2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『見知らぬ人へ、おめでとう』木村紅美

もう一度書いたことかもしれないけど、木村作品にでてくる主人公って、同調圧力にのらない群れない女性でありながら、きちんと自分の生きる楽しみを見出しているかのような女性が多く、作品全体に楽天的な空気も漂い、当然私などがシンパシーを抱くことは少…

『ストロベリーソウル』吉田修一

何を意図しているのかよく分からないのだが、吉田修一が書き続けている日本の周辺国が舞台の小説。今回は題名が示すとおり、韓国が舞台。 殆どたいしたひねりもなく小説は終わるのだが、おそらくこんな感じで、日本韓国台湾の若年層が置かれた状況って、もう…

『群像』 2010.3 読切作品ほか

さいきん群像で佐藤友哉氏もいろいろ書いていましたが、昨今の出版不況に、電子ブックの登場も加わって、もう地殻変動がすでに起こったみたいな感じになっるみたいですね。 ネットに繋がなくても、文芸誌4誌のどこかには、紙の本がなくなる系統の話題が載っ…

『メガ・クリティック 1968年と青の時代』池田雄一

『文學界』では最近いろいろ評論が始まっていて、いちいち言及しなかったけど、それは言及するまでもないようなものだからで、そのなかで池田雄一の連載だけが面白い。東浩紀のは近況報告ばかりが目立つようなものになってきてしまって、東浩紀に興味がない…

『虚ろまんてぃっく』吉村蔓壱

以前の自分の吉村蔓壱評価がなんだったんだというくらい滅茶苦茶面白! ある架空の埠頭の夜の出来事を追うのだが、むろん繁華街と違って夜ともなれば、人目につかない事をしたい人達の集う場所でもあり、埠頭の公園にはホームレスもいる。そこで、吉村蔓壱な…

『先生のあさがお』南木佳士

医師がむかしの出来事を振り返る話。十字路で素性も定かではない女性(ただし相手は自分を知ってる)にあさがおの種をもらって、それを育てつつ、そのあさがおを育てていた先輩医師の思い出を語る。この女性が不自然に長々としゃべり、なんか非リアリズムふ…

『かなたの子』角田光代

前にも似たようなテイストのものを読んだ記憶があるのだが、まるで近代と前近代の狭間にあるかのような時空間での非リアリズムな出来事を描いた小説。流産してしまった子供のことをいつまでも、次の子を宿した後までも忘れることができない女性が主人公。 前…

『タイニーストーリーズ2』山田詠美

三篇目のGIとの話以外は、私にとっては例によって読み物でしかない感じなのだが、まして前回のストーリーズよりは小説としてありがちな話になってしまっているような。 ただしGIの話は面白いな。いちばんリアリズムに近い小説のほうが、広がりを感じる。…

『再生』石原慎太郎

読んでないので評価なし。 右派的な姿勢ゆえに小説として正当な評価を与えない傾向があるがそれはおかしいではないか、という声があるみたいだけど、たぶん多くの人にとって、その人の政治性ってのは思ったよりも重要な要素。政治的な言説上の対立は、肉親の…

『文學界』 2010.3 読切作品ほか

ちょっとある社会問題というか歴史問題に関して興味があったので、図書館でいろいろ借りてきたりしていたら、もう次の号が発売されるという、なんという月日の進む速さ、という感じの昨今です。 また暫くココをサボりましたが、上記のような理由で、ちなみに…