2008-11-08から1日間の記事一覧

『世紀の発見』磯崎憲一郎

しかしこの人も異様に書ける人なんだが、なんか印象としてツルンとして引っ掛かりがないんだよな。 子供時代の奇妙な出来事からはじまって、成人してからの海外への派遣生活を淀みなく語っていく。子供時代の昔語りなんかは純文学にありがちな内容だが、海外…

『おひるのたびにさようなら』安戸悠太

これはなかなか力作。[面白い]というのは、少し新人としてという留保があるけれども。 少なくとも私には、この作者には、他の新人賞受賞者に顕著でしかもそれしかない、たんに小説家になりたいという欲望以上に、書くことへの拘りが感じられる。そこがまず好…

『文藝』 2008冬

絲山秋子氏が「作家になりたいのならこれだけはしておけ」と問われたときに、「就労体験」と答えたのが、ずっと頭の中に残ってます。 むかし柄谷が、物を売ることを「暗闇への跳躍」と書いていたような覚えがあって、それに似てなくも無いな、と。 つまり仕…