『屋根屋』村田喜代子

この人はおなかの中の子供がしゃべったりするようなものより、こういうリアリズムのほうが断然いいんじゃないかな。しかも主人公が作家本人に近い年齢・性別っぽく、それが尚更一人称の文章を生き生きさせているような。というわけで、前半は非常に面白く読んだ。水漏れして家族が屋根にどう対処したかの顛末が面白く、何より屋根屋さんのキャラクターがいい。が、後半夢の話になって少しリアリズムから遠くなりそうな、そういう嫌な予感を含んでいる。