『枝豆』橋本治

「草食系男子」についてモニターされる学生のはなしなのだが、その「草食系男子」というコトバがなぜに言われるようになったか、色々考えさせるという意味では少し面白かったな。たしかに、体毛濃くていつも汗かいていて近眼でデブな男性がいくら女性に消極的でも草食系男子とは言われないだろうから、「草食系男子」というのが、自分に興味を示してくれない男性のことを女性が合理化することばとして発生し流通したという側面はあるだろうなあ。いっぽうで、セックスレスなどという現象ともあわせ考えると草食という現象もありそうで、いかにも男性の欲望がいまは縮小しているかのようにも思えるけど、きっと自足するに足る色々なものを現代はあれこれ作っちゃったんだろうな。夜這いが最大の娯楽だった頃が人間にはあるわけで。
自らを振り返るに、いろいろ振り回されて自分が消えてしまうようなときこそ、自分のなかに蓄積されるものがあるようにも思うんだけれども。自ら望んで行ったときでないようなときの体験のほうがむしろ不思議と残る。でも、それがときどきひどく面倒だというのもわかる。