『世の中おかしいよ』石原慎太郎

一応小説らしく主人公は警察官ということにしてあるが、その彼に、外国人犯罪のこととか、クスリの規制の問題とか、内容は都知事としていま直面し危惧している問題をそのまんま語らせていて、まあ正直というか(題名を含めて)、でも、以前読んだような文学であるからにはインモラルでなければ的な露悪的な創作ものよりは、これずーっとマシという気がする。尖閣の問題ばかり最近はクローズアップされてるけど、都知事というのは他にも色々あるんです日々苦慮してるんです、というのは少なくともうかがい知ることが出来る。意地悪を言ってしまえばしかし、こんな内容は他の人が都知事になっても出てくるようなことで、ぜひとも新銀行の処理をめぐる問題とかも小説にして欲しいなあ。
最初読んだときは、こんな高所から世の中を見渡して物事いえる警察官なんているかよ、とも思ったが、でも、尖閣のビデオ流出させた海上保安庁の人もあれこれ言う人だったみたいだし、そんなに無理ではないのかもしれないと思い直した。