『246号線』上村渉

題名見たときは(そのまんまやん)とつい思ってしまったよ。
ところで、わたしの感覚では、16号線とかカンパチのほうが交通量が多いような感覚に陥るけれど、ああいう環状になっている道路と違って、地方と東京を直線的に結ぶ道路は思い入れを呼び込みやすいのだろうか、とか考えてみる。でも、ならばコクイチや水戸街道日光街道はどうかというと、やはり246とは何かが違う。やっぱ蒲田や上野、錦糸町あたりへ出る道路と、田園都市線に並行して世田谷・渋谷を通る道は同じ国道でも違うというところか。ひとつの地域としての東京らしさといえば城東地区になるのだろうが、地方にたいしての中央といういみでの東京らしさを体現しているのは246の方なのだろう。頷ける。ほんとうは、外車ディーラーと輸入家具店がやたらと目立つ目黒通りのほうがよほどリッチな感じなのだが、あそこまでいくと手の届く感からも離れ、行き過ぎなのだろう。ちなみについでなので、もっとどうでも良いこというと、246やコクイチ、第一京浜なんかよりも城東の水戸街道日光街道のほうが圧倒的に信号のつながりがよく走りやすくて気持ちいいんです。あと、二輪車の交通量が一番多いのは246だ、とのこと。
小説から遠く離れたが、じつのところ書くことがあまり無いのだ。どうしてこんなに小さくまとまってしまったのだろう。連作のなかの一短編という風情だが、そんなことでもあるまいに。
また話しそのものがいくら小さくてもそれはそれでいいにしても、リアリズムというならいま少し、出てくる人間にいやらしさ、嫌な面があって欲しいと思う。もう少し壊れている面が。もっと前の作品にはそういう気配があったように思うのだが。