『おれたちの青空』佐川光晴

おれのおばさんのこれは完全に続きであって、そのとき書いた以上それほどの感想はないが、いまひとつ思ったのは、この作品が書かれるにあたって、北海道、なかでも札幌という土地が中心であったことはある種の必然ではなかったか、と。少なくともあの作品の魅力は他の土地でそれが描かれていたら幾分か減ってしまったかもしれない。
ちなみに札幌というのは、近代になって作られた新しい、近世の記憶の薄い都市で、そこからスタートする物語にマッチするのだ。たとえば住んでいる人も、新しいもの好きというとやや悪い感じの言い方になるが、新しいものへの抵抗が少なく、ユーザーが一般消費者であるようなたとえば食品メーカーなど、新商品の反響をみるために札幌でまず限定して売り出すという話もきいたことがある。