『到着ロビー』デビット・ゾペティ

真剣に読んでいられたのは、主人公が思わず急死した旧友のふりをしてしまい、客人として蒲田へ向かうあたりまでだろうか。
蒲田の中小企業についてからは、中国人に扮していたつもりがふとした拍子に日本語を口にしてあわててごまかしたりだのして、楽しく読める箇所もあるが、エンタ系小説としての楽しさでしかない。というか小説というより、殆どコメディ映画のような。いや最近はコメディ映画だって、こんな蒲田の小さな工場でAI(人工知能)を研究しているなどというような荒唐無稽な話はないのかも。
いずれにせよ、判断のしようがないというのが正直なところだ。ジャンルが違うんだもの。量産できるかはしらないが、会話の織り交ぜ方とかからみるにそこそこ書ける人だと思うので、「小説すばる」の編集者を誰か紹介してあげてはどうだろうか。