『ある法会』金仁順

なぜかしら心に残る小説。現代中国で、仏教にすがるようにして生きる、一定以上の所得のある人々を描いた小説なのだが、短い小説でたいした筋があるわけでもないのに、おなじ人間の息吹をいちばんに感じた。
さまざまな光景の処理のしかたが現代の日本の小説に近いものがあったから?というのもなんか言い当てていないな。自分と自分を外側から見ている自分がいて、どちらにも振り切れない感じがなんかリアルなんだけど、この言い方もこの小説の魅力を伝えきっていない。