『停電の暗闇と明かり』大森兄弟

このエッセイの主題については何の異を唱えるつもりもないのだが、冒頭、戦闘機が通勤電車を「爆撃」、にひっかかりをおぼえる。もちろん戦闘機だって、両翼に一個づつ爆弾を積めるが、対空砲火器や弾薬を運んでいる貨物列車でもないただの列車を「爆撃」するというのはちょっと考えにくいのだが。
もちろん戦闘員にはみえない人間を「機銃掃射」したり、余った爆弾を決められた戦略目標ではないとしか思えない所に落としたりということはあったらしいから、こういう出来事が皆無とはいえないが、せいぜい何を運んでいるか確認する程度の飛行ではないのだろうか。トンネルのせいで助かったというよりは。