『先カンブリア』諏訪哲史

このシリーズ最近では、面白げなことを書いているか否かばかりしか評価していなかったが、今回の作品はそういうところが少ないにも関わらず、いちばん退屈しなかったかもしれない。生物(鉱物もふくめ)が進化していく過程で、いかにもそこで見られそうな風景および印象と、現代(というか人間が現れて言葉を使い出して以降)の事物の詩的な印象がうまく重ね合わせられていて、その相乗効果に感心した。