『孤独の発明』三浦雅士

高名な思想家がゾロゾロでてきて、そのエピソード「だけ」が面白かったこの連載もやっと終了してくれた。
ところで今回ん?と思ったのは、歴史事実と歴史解釈の話で、徴兵忌避者が戦後直後は英雄だったが高度成長期には裏切り者になっているのを、事実は解釈のまえでは何物でもないことの端的な例としているところ。いや、このへんは事実はべつに変わってないんだから何物でもないというほどバカにしたものでもないんじゃないのかなあ。
怖いのは、有名な百人斬り競争みたいに、戦中には事実として英雄的に語られたものが、戦後には都合よくあれはホラだからとかいって事実ではなくなってしまうことじゃないかなあ。解釈のまえに事実が変わってしまうこと。
ともあれこの連載、「違うことを言っているわけではない」みたいな独特の言い回しがすごく多く、読んでいて嫌だった。