『先生との旅』町田康

基本的に方言や俗語などに影響をうけたかのような独特の語り口というか言い回しを楽しむ作家だと思うので、この作家をアジア特集で他国に紹介するのはどうなの、と思うが・・・・・・。
以前はずいぶんと面白いと思ったものだが、こういう分かりやすい特徴はかえって飽きてしまう部分があるのも確か。
で、基本的に語り口を、とさきほど書いたが、基本的に、どころか内容がありそうに見えて殆どないし。
また、基本的にクレバーな常識人が抑制して書いてるような気配が、たとえば木下古栗なんかの壊れ方と出会ってしまうと、感じ取れてしまっていまひとつ乗れない。たけしの軍団イジメを見てしまうと欽ちゃんの次郎さんいじりがやさしく見えるみたいな勝手な理屈だが。「失敗した鮒寿司のような人間の顔」とか単発で笑える箇所もけっこうあったので、[オモロない]まではいかない。ただ、それと同じくらいわらかそうとしてワルノリでうんざりさせる箇所がある。