『火ごもり』稲葉真弓

あまり読んだことないような話のせいで最後まで読めたが、その後まもなく忘れた。つまり傷跡を残さない小説で、こういう自然さこそが我々を蝕んでいるということだ。
田舎の人の寡黙さに、なにか過剰な意味を勝手に読み込んでしまう都会人の悪いところが描かれているが、そのことへの批判がない。たいてい、都会人の心情以上の何かがあったりするわけではなく、取るに足らなかったりするんだが。