『そのかわり』松井周

このメインの、ちょっと込み入った三角関係だか四角関係の話そのもののリアリティの無さ、ついていけなさはともかくも、途中途中に挿入される童話めいた話が恐ろしく退屈で、読み進めるのに苦痛ばかりを感じた。
主人公の職場での描写なんかは皮肉が効いていて、「ヒューマン」だの何だのと言ったところで、いつまで経ってもやはり企業というものは手を変え品を変え人間を疎外させてるな、と感じさせるものがあり、その事はまさしく真っ当な社会認識であって、それ思うと、なんとも惜しい小説だなあ、と。