『スズメバチの戦闘機』青来有一

史書を読みこなすような聡明な小学生が、スズメバチを戦闘機と幻視してしまう話なのだが、こういういかにも文学的な、幻視してしまう語りを、小学生に用いるのがピンと来ない。ゆえに書かれている事にたいして、量が無駄に多く感じる。
そして、やはり描かれるべきは、少年の純朴な戦争ごっこではなく、焼き尽くす老人の歪んだ「戦争」じゃないのか、と思うと、尚更作品を冗長なものと感じる。