『代理母豚』田山朔美

うーむ。正直期待はずれだ。この低評価が、期待していた分の負の感情から来ているのだとすれば、すくなくとも期待していたことをもって作者には許して欲しいと思うのだが。
やりすぎ、なのです。なんでこんな不幸のオンパレードにしてしまったのか。どこを読んでも不幸。
いずれか片方ならともかく夫婦双方の両親がともに異常人格な感じだし、過去には幼児性愛みたいな体験があったり、夫婦間はセックスレスで、かつての知り合いは不妊で宗教じみた活動を強いてくる。ここまでやってしまうとリアリティが剥がれ落ちて、読んでいても共感からは徐々に遠くなってしまう。
とくに主人公の夫が離婚を言い出す行動には疑問を感じた。いくら精神的に参っているとはいえ、身分の不安定な妻をこの就職難にひとり荒野に放り出すような事になってしまうような離婚という事を、何の理由も述べること無く持ち出したりするものだろうか。