『午後』福永信

前に似たようなものを読んだことがあるが、A、B、C、Dなる人物についてひと段落づつという感じで短く順番に、Dが終わるとまたAの様子という具合に語る。読んでいると、いつの間にかこの4人の関係について兄弟なのかなとか推測したくなり、少年なの?少女なの?と思っているうちに明らかに人間ではなくネコについて書いているのでは?と疑っていると、今度はまた人間に戻った?みたいなそういう不思議な読書体験が楽しめる。誰も書いたことのない、そして、書かないであろう小説を書くと言う意味では、オリジナリティがあり、またそれだけでなく同時にその作品にクオリティを感じさせる作家の一人であることが確認できる。


おまけ