『壁崩壊20年』特集

唯一、芳地隆之氏が訳した、ベーベル・シュライダー氏の論考が面白かった。なるほど、昨今の経済危機は人によっては、東ドイツ国民がかつて経験した崩壊に近いものがあるのだろう(実際には後者の経験の方が想像を絶すると思うが)。
そこでこそ、かつて西ドイツ国民だった人々の共感の契機があるということなのだが、もっといえば、かつての東ドイツに学ぶべき所が全くないのか、どうか。単なるノスタルジーではなく、東が見直されるような論調とか、あるいはかつて東側だった国で共産党系の復活の兆しもときに見られると聞くのだが、そういう動きについてはこの特集ではあまり触れられていなかったように思う。それが残念。