『おれのおばさん』佐川光晴

多少読みやすく、大人の側の善悪がはっきりし過ぎているきらいはあるが、中学生同士でいつのまにか友情らしき連帯感が芽生えていくところの描き方は流石という他はない。この作家には、もう徹底して弱い側に立ってもらっていいと思う。これを他の作家が無理にやればあざとくなるが、ここまで徹底するならこれはもう「業」に従っているとすらいえるからだ。
そして私も徹底的に支持するのだ。客観的な批評云々など知ったことか。