『新潮』 2009.11 新人賞ほか読切作品

某大型古書店で本を購入するとき、いちいちポイントカードの所持を聞かれるのが煩わしいと感じる昨今ですが、また少し放置してしまいました。
今更もう書かなくても良いだろうと思われても仕方ない状態ですが、殆ど読んだという記録のために更新いたします。


それにしても民主党政権ですよ。選挙前に自民党に財源問われてあるもんあるもんと言いながら、はやくもタバコ値上げの話が急ピッチです。いやすばらしい。
これを批判する声が少ないというのは、鳩山さんの収支問題と同様民主党にとにかく甘いというプチファシズムな雰囲気もさることながら、もっと大きい要因としてはタバコに味方するような言論が、今のマスメディアでは異常にオミットされているということでしょう。
しかもそれだけならまだしも、この状況に多くの愛煙家が早々諦めているかのような状況。文筆業で表立って声を上げているのを小谷野敦氏くらししか知りません。氏のようにライフワークのように取り組めとは言わないまでも、吸っている人はもっと居るはずなのに。私は禁煙運動家が例えばマンガの表現にまで口を出すことはまあありえる事だよなあくらいに思いますが、そういう議論への抵抗を早々と諦めてしまうのはかなり問題ではないかと考えます。異常を日常にしてしまうのは日常からの抵抗がないからです。文化大革命でいえば、紅衛兵の活動が問題なのではなく、紅衛兵に賛同しないくせに反対もしなかった行動の方が私には気になってしまうのです。
ぶっちゃけ、そんなに肩身狭くしなくても良いだろうという事でいま少し書いてみますが、そんなに難しい話ではありません。
健康など政府に気遣ってもらわなくて結構というのはもちろんでこれ以上言うことはないのですが、これを医療費問題とからめられると無言になってしまう愛煙家が多いように思います。タバコ吸う人が少なくなれば病気になる人も少なくなる、ゆえに医療費も下がり健康保険の負担も下がるかもしれない、そもそもタバコを吸わない人がより病気になるような行動をしているタバコ吸う人の分も負担しているような状況はオカシイじゃないか、そういう議論です。
でもこの議論ちょっと単純すぎませんか?
人はタバコ吸わなければ、医者にかかることなく自宅で老衰で死ぬことができるようになるのでしょうか?そんな事はまずありそうにもないのですが。それが肺がんや喉頭がんでないだけで、やはりたいていは歳を重ねれば心臓病なり糖尿病なりにかかっていくわけで。タバコやめたとしても先延ばしするだけで、いずれは医療機関のお世話になるんじゃないでしょうか。かかる医療費が少なくなるとは思えないんですよね。というか、むしろ多くの人々が健康を何より気にする社会の方が医療費って増えませんか?小さい異常でもすぐ診てもらうというふうにして。
それに今70歳くらいの人達が若い頃って、成人男子であればたいていタバコをたしなんでいたわけで、それでも70歳まで生きらるというのはすごい事ですよ。小さな声で言いますが、今くらいでもう良いんじゃないでしょうか。タバコやめて平均寿命が90くらいになって、足腰が弱い人が今以上に沢山になって、それで健康といわれてもねえ、という。


あともう一つ見逃せないのが、低所得者層にどちらかというとタバコを吸う人が多いのではないかということ。私はデスクワークも力仕事も経験がありますが、デスクワークの人の方が吸わないですよ、やはり。
つまり、民主党は弱い人達の味方のようなイメージですが、ヘタすると弱い人達の重要な娯楽を奪ってしまうかもしれないのです。